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ねぇ、もしも、もしもあたしがアンタより先に死んじゃったら
アンタはどうする?
あたしを想って泣いてくれる?
あたしをずっと想い続けてくれる?
冴子さんが今でもアニキだけを想ってくれているように
あたしだけを想ってくれる?
・・・それって絶対無理よね
だってアンタ史上最悪のもっこり馬鹿だし
年がら年中発情期状態のアンタの辞書に、禁欲なんて辞書無いに等しいもんね
あたしがいなくなったら他の女を抱くんでしょ?
あたしがいなくなったら他の誰かに優しくして、優しい言葉をかけて
そして、あたしの知らない誰かを愛するんだわ・・・
それはきっとどうしようもないことよね
あたしが死んじゃったのが悪いわけだし
人間一人じゃ生きていけないものね
そう言ってどこか悲しげに笑った女に、男は眉をしかめた
「なぁ、なんでそこで俺生きてる設定なわけ?」
「・・・・だって、あたしだけが死んじゃった場合だし」
「わぁってるよそんなもん、でもさぁ、なぁんでそれで俺が当たり前のように生きてんだよ」
「・・・・・ハイ?」
今度は女が眉をしかめた
むしろ理解できないと言わんばかりの顔で男を見た
男はそんな女の顔を見て、さらに呆れた表情をしつつも
「しょうがないヤツ」だと言わんばかりに、女の柔らかな髪に口付ける
「お前がいねぇのに、当たり前みてぇに俺を生かしてんじゃねぇよ、バーカ」
言葉の意味を理解して
何を言いたいのか理解して
女は困ったような、それでいて、どこか嬉しそうな笑みを浮べ男に抱きついた
「なら、アンタが先に死んじゃったら・・・・あたしも問答無用で連れてってね」
「んなことしたら、槇ちゃんに殺される」
「あら、別にいいじゃない。そしたらあたしも一緒に謝ってあげるわよ」
「・・・・・馬鹿な女」
「お互い様でしょ?」
くすくすと笑う女に、男は何も言わずに口付けた
もしも、もしも・・・・どちらかが先に天に召されたら
どうか、置いていかないで
一緒に連れて行って・・・・
きっと、2人一緒じゃないと、息をすることも叶わないから
「強く儚い者たち」 by Cocco
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