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パロディ いつでもいっしょ







*この作品は某携帯CMのパロディです つまり、携帯が人の姿をしています。
 ちょっとしたおふざけ作品です
 
 

 
パロディなんて許せない!!見たくない!という方はすぐにブラウザを閉じてください
大丈夫という方はこのままお読みください









とある平日のとある昼下がり
都内某所にある某携帯ショップの前で一人の男性が胡乱気な目で店を眺めていた


「・・・・・・やっぱ、持たないとまずいよなぁ」


男はポツリとそうつぶやくと
重い重い溜息を吐き出し、同じく重い足取りで店の中へと入っていった



男の名前は冴羽僚
新宿歌舞伎町で男の名を知らぬといわれるほどの遊び人で、自称万年ハタチ
天涯孤独の身の上からか、生来の気質なのか、誰かに束縛されるということを嫌い
この時世には珍しく、携帯を持つことを拒否し続けていた
・・・・・・が、彼自身がよくても、彼の携帯代わりに使われる周囲の人間はたまったものではなく
周囲の説得、もとい『脅迫』から、ようやく携帯を一台持つことを承知したのだた


「いらっしゃいませ」


店に入れば受付の女性がにこやかな営業スマイルで迎える
いつもであれば、もっこり美女に目がないこの男
すぐさまショップ店員をナンパしにかかるのだが・・・生憎、今日中に携帯を仕入れてこなければ
周囲のおせっかいな友人連中からどんな『オシオキ』をされるのか、わかったものではなく
なくなく、にこやかに手を振るだけに留め、目当ての携帯へと目を向けたのだった


(・・・・ったく、海ちゃんや美樹ちゃんだけじゃなく、冴子やミック、果てはかずえちゃんだもんなぁ
どんなオシオキされるか・・・・・か、考えるだけで寒気がするつーのっっ!!!)



適当に見繕ってさっさと帰ってナンパでも・・・・とも、考えたのだが
せっかく持つならそこそこのものがいい、と僚はじっくりと選ぶことにした


(最新云々関係なく、そこそこ使い勝手がいいのがいいよなぁ
んで、もちろんもっこりちゃんタイプがいいんだが・・・・・)


そんなことを考えながら一台一台見ていくと・・・
ふ、と僚の目に一台の携帯が目に留まった



並べられた携帯のどれもがにこやかな笑みを浮かべている中
一人だけガチガチになっている、冷や汗すら流しそうな表情の携帯が一台
綺麗な外見をしているのに、妙に子供っぽさすら感じる携帯(彼女)に、僚はなんとなく近づいてみる


「なぁ・・・・おまえ、試せんの?」

「へ?!あ、はっ!はい!!だ、試せます!!・・・・な、なにをなさいますか?」

「あー・・・・そうだなぁ、とりあえず通話画面たのまぁ」

「は、はい!え、えっと、こちらが通話画面になります・・・・」

「ふー・・・ん、んじゃぁ次は・・・」


次から次へとあれこれ、と試すべくにいろいろと注文をつけてみれば
目の前の携帯はわたわたと多少慌てながらも、必死に僚の注文に応えていく
多少、「あ、あれ・・・えっと・・こ、これは・・・・・」と言って一瞬止まることはあるものの
さほど時間をたてずに、「あ、こ、こちらです!!」と画面を表示させてみせた
その際に「どうだっ!!!」と言わんばかりに目を輝かせており、僚は思わず頭を撫でてしまいたくなる衝動に駆られるが
携帯の頭を撫でる、というのもなんとも妙な気がし、誤魔化すように手をズボンのポケットへとしまった


「・・・・・・なるほどな、こんだけできりゃまぁまぁだろ」

「ほ!ほんとうですか!!!?・・・・あ!!ありがとうございますっ!!!」


なんとか言えた言葉も、決して素直なものではなかったにも関わらず
目の前の携帯は、ぱぁーっと花が開いたような満面の笑みを浮かべて喜ぶ
なんとも素直な携帯に、僚は「携帯って、こんなもんなのか??」とわずかに疑問を持ちつつ
「おまぁ、最新のヤツ??」と問いかけた


「い・・・・いえ、あたしは・・・旧式です・・・・最新式は、あっちにいる子で・・・
あ、あたし、旧式だから・・・あんまりアプリとか、凝ったことできなくて・・・・今日が、ここに立つ最後の日なんです」


一瞬顔色を暗くしながらも、必死に明るく振る舞おうと笑みを浮かべてみせる
あまつさえ「それに、今度の最新の子はすごいんですよ!!」と新作のことを勧め始めた


(・・・・・これは、また・・・・随分とお人よしな携帯だこと)


確かに、聞けば最新式のほうが目の前の旧式の携帯よりも優れているのがわかる
実際この短い時間で多少僚が気になったことも、最新式ではおこらないという
だからといって「ね!すごいでしょう!?」と胸を張って言うのはどうかと思うが・・・
本人はまったく気になっていないらしく、「ぜひ!買っていってくださいね」と笑顔で言う携帯に
僚はとうとう、ぶっ!!と吹き出した



「お、お客様?ど、どうかしましたか??」

「い・・・・いんや、別に・・・・ただ、おまぁ変わってるなぁーっと思ってな」

「・・・・・そう、かな???」

「そ、変わってんの♪」






「だから、俺は買うならおまぁにするわ」





そう言って、驚く携帯を無視し近くにいるスタッフに声をかければ
まさに、その一台が最後の携帯だと言われ
僚はニヤリと笑みを浮かべ「上等だな」とわずかに口角をあげると
そのまま契約を果たすべくカウンターへと向かったのだった





とある平日のとある昼下がり
喜怒哀楽が激しくて
わたわた作業しながらも一生懸命で
お人よしな、妙に人間臭い携帯 香 は、本日をもって
某都内の某携帯ショップから、冴羽僚専属の携帯へとなったのだった



 

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