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パラレルです
世界観は特に決めていませんが、ほぼリョウだけです
リョウが人を殺すシーンがあります。
詳しい描写はありませんが、それでも嫌だと思う方は読まないでください
大丈夫!平気です!!という方だけで、つづきをクリックしてください
(・・・・狂っているな)
刀を一振りし血潮を払いながら、ポツリと内心呟く
振り払ったことで、己の刃が貫いたソレが盛大な音を立てて崩れるも
今の俺の耳には・・・いや、この『場』に置いては、その音は些細な音でしかなかった
血の匂いと絶叫と悲鳴
刃と刃が共鳴するかのような音
遠くからの銃撃・・・砲撃・・・・
阿鼻叫喚とはまさにこのことだろうと思わせる場所で、俺は一人ひっそりと口角を上げた
人の命を今しがた奪ったというのに奮えも罪悪感も無い
あるのはただ一つ、狂ったような高揚感と、最大にまで膨れ上がった緊張感
敏感になりすぎた肌は、わずかな殺気も逃しはせず
新たな敵にもすぐに体が無意識に反応し、刃を受け止める
「・・・それぐらいで、俺を本気で殺(や)れると思ってるのか?」
笑みを消すことなく、その刃を弾けば
相手は声もなく「ヒッ」という恐怖に顔を歪めた
「・・・戦場で、ソレ(恐怖)は・・・命取りだぜ?」
言葉と同時に恐怖に引きつつ男の命を絶つ一振りを下す
男は最後の最後まで、恐怖で顔をひきつらせながら絶命し
俺はソレを一瞬見ただけで、すぐさま興味を失う・・・
「リョウッ!!連絡があった!!!背後に回らせた部隊が敵の伏兵を殲滅したっ!!!」
「そうか・・・・んじゃぁ、最後の仕上げといきますかねぇ」
俺の元に駆け寄ってきたミックに、俺はさらに口の端をあげ
最後のミックに向けて『指令』を下せば、ミックは『了解』と不敵な笑みを浮かべ、その『指令』を
戦場にいる味方に知らせに走る・・・
その『指令』が伝われば伝わるほど、戦場ん士気がさらに上がるのが分かる
ビリビリとしたソレに、寒気とも高揚ともわからぬ感覚が俺を貫く
ただなおも高揚する体を諌めるように、俺はゆっくりと深呼吸をすると
改めて己の愛刀に手をかけ・・・・そして、阿鼻叫喚の地獄絵図の中へと飛び込んだ
(狂っている・・・)
戦場を駆け抜けながら、俺は自嘲的な笑みを浮かべ内心呟く
いや、もしかしたら声に出ていたかもしれない・・・が、今はそんなことは些細なことだろう
俺は目の前の『人であったもの』を次々と作り上げながら
さらに前へ前へと突き進む・・・・
人が人を殺す
殺されるから殺しあう
なんとも馬鹿げた行為だと内心思いながらも
相手の命を奪うことしか生きる術の無い俺にとっては、ここほどお似合いの場所は無いとも思う
殺伐とした場所
あるのは、ただ死ぬか生きるか、その2択だけ
殺るか殺られるか・・・・その選択を突きつけられ、俺は常に前者を選んできた・・・ただそれだけだ
階級があがろうと、地位があがろうと、金が入ろうと
結局俺がしてきたのは・・・・ただの人殺しだ
それがたまたま、政府によって認められただけのこと
やってることは正当化されただけの、殺人でしかない
(いっそ、ここで朽ちてしまえば・・・楽になれるかもしんねぇんだがなぁ)
何度もそう思った
何度も何度もそう思ってきた・・・今ですら、こうして思うときがある・・・
・・・・・・だが
『・・・僚、生きて・・・・生きて、帰ってきて』
この殺伐とした場所とは無縁の、柔らかな色をした桜の咲く場所で
涙をためながら、自分に『生きろ』と、『帰ってこい』言った少女が必ず脳裏を過ぎる
死にそうになる直前に、死ねれば楽になれると思う、その度に
まるで諌めるかのように、俺を止めるように
アイツが・・・香が、俺の脳裏を過ぎる
『待ってるから、ここで・・・ずっと、ずっと待ってるから、だから・・・・っ』
「・・・あぁ、そうだな」
爛漫の桜が咲き誇る場所で、己を待つ女を思い
俺は初めて『笑み』を浮べる
「もう少しだ・・・・香・・・・」
全身に血潮を浴び
手を己ではない血で染めながら
俺はただ・・・・あの、場所に・・・香(アイツ)のもとに帰るために・・・・
「生き延びるさ、何がなんでもな・・・・・」
勝利であれ、負け戦であれ
決して揺るがない・・・・唯一にして絶対の・・・・『信念』
(生きて生きて生き抜いてやるさ、無様なまでに生き抜いて・・・・そして、お前と一緒に・・・・・)
桜の下で微笑み、己を向かえる女と共に・・・生き続て、みせる
そして、俺は揺ぎ無い絶対の信念のもと、
また一人、命を奪う・・・・
この『自分の生きる場所』から『彼女と共に生きる場所』に帰るために
「愛と誠」 song by ALI PROJECT
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