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魔王と天使 2


パラレル連載(?)第二弾です

さてはて、着地点はどこにあるんだろうねぇ←←


パラレル大丈夫!!ばっちこーーーい!!という方だけ続きからどうぞww



























パチッと音をたてるように、目を覚ました
随分と眠っていた気がする・・・なんて思いながら
目を覚ましたと同時に目に入ったのは見知らぬ天井をぼんやりと見つめる



(・・・・ここ、どこ?)



自分がどこにいるのかわからず、ぼんやりとした思考のまま周囲を見渡す
知らない部屋、知らない家具、そして、知らない『空気』
・・・だが、その中に微かにある『気配』に気づくと、ピクッと体が反応した




「・・・・気づいたか」




声が響くと同時にぶわっ!!と音をたてて何か黒いものが部屋の中に現れる
黒い霧のようなソレはすぐさま一人の男の形へと変化し、驚きでわずかに目を見開いた



「・・・なんだ、その顔は・・・・まさか、自分がどこに居るのか把握してないほどバカなのか?」


「・・・・・・・」



男の言葉に思わずむっとし、反論しようとしたが寸でのところで思いとどまり
キッと男をにらむだけでとどめた
しかし、その反応に男は特に気に留めることはなく、逆に呆れを含んだ溜息を吐き出した



「随分と威勢のいい天使だが・・・状況を把握するほど賢くはないみてぇだな」



そう言うと男はゆっくりと自分が眠っているベットへと近づき
警戒する暇さえ与えず、トンッとかるく額を小突いた
「何すんだ!!?」という言葉を言おうと口を開けるが
その言葉は言葉として吐き出されることはなかった


男が額を小突いた瞬間
まるで自分の周りの空気が一瞬にして無くなったかのうような息苦しさが襲う
必死にわずかな空気を吸おうとするものの、それは余計に苦しさを増すだけで
うめくような声をあげるながら、苦しさで体をよじる



「これでわかったか?・・・・お前は今、『俺に』生かされてるってんだよ」



再びトンッと音をたてて額を小突かれる
すると、先ほどとは逆に一気に空気が自分の体に入り込んでくる
その空気を一気に吸い込み、ぜぇぜぇと荒い息を繰り返しながら
自分を『生かしている』といった男を見上げる



「馬鹿な天使にもわかるようにちゃぁんと説明してやるとだな
・・・ここはお前らの天敵がいる『魔界』だ、ここの空気はお間にとって毒でしかないし
食べるもの、触れるもの、すべてが有毒・・・息をするのだってできやしねぇ地獄なわけ
だが、お前は今息ができる、他のものに触れることもできる・・・なんでかわかるか?」



まるでいたずらが成功した子供のような
だが、どこか残虐さを含んだ笑みに、わずかに身震いをしつつ
ゆっくりと首を横に振った
すると男はますます「おもしろくて仕方がない」とでもいうかのように笑みを深くし
そして、判決を言い渡すかのようにことさらゆっくりと、口を開いた



「それはな・・・俺がアンタを加護してるからさ・・・俺の加護無しじゃお前はここでは息もできない
つまり、俺の機嫌を損ねた瞬間、お前はこの世界そのものから消える
生きるも殺すも俺次第というわけ・・・わかったか?」



ゆっくりと男の冷たい指が自分の頬をなでるながら、黒曜のように黒い瞳が自分を映す
その眸はまるで今からどう獲物を狩ろうかと考えてる獰猛な獣を連想させ
恐怖で体がわずかに震える
本来であれば恐怖で目をそらし、一目散に逃げなければならいのに
このときの自分は、その眸から目を離したくない、なんて思ってしまった
恐怖で体を堅くしながらも、じっと男を見つめ返し続ける



「・・・いい顔だな、気に入った」



何がどう気にったのか、男の台詞にわけがわからず、きょとんとした顔をしてみせれば
男はさらにクツクツと喉を鳴らしながら笑みを浮かべた



「ここで喚きたてるなり、逃げるなりしたらそれこそすぐにでも外に放り出してやろうと思ったんだが
・・・退屈しのぎの一環ぐらいにはなりそうだからな、しばらくはここにいさせてやるさ
なにより、天使を飼うなんざそうそうできることじゃねぇしな」



そう言うとクイと顎を持ち上げられ、じっと顔を覗き込まれれれば
大きな黒曜の眸の中に自分の姿がはっきりと映しだされた



「・・・・愚かな天使よ、お前の名は?」


「・・・・・・カオリ・・・・マキムラ・カオリ」



わずかな戸惑いを残しつつも、素直に自分の名前を名乗れば
ふわりと、柔らかな風のようなものが自分を包み
そして、ゆっくりと体の中に溶けていった



「カオリ・・・・お前は今から、この俺・・・・魔界の王である
魔王、サエバ・リョウの所有物だ・・・・せいぜい俺を楽しませてくれよ?」



そう言うと男・・・・リョウは、そっとカオリの額に口づけを落とした

 


 

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