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この感情は、なんなのだろう
あたたかくて、むずがゆくて、でも切なくて、苦しい・・・
「おーーい、香ぃー?」
呼び声に応えるように振り返れば
呼んだ本人は、とても驚いた顔をしていた
「どうしたの?」と聞く前に、珍しくどこか困ったような、慌てたような・・・
まぁ、ともかく目の前の男にしてみれば珍しい表情をしてみせた
「それはコッチの台詞だっての・・・・どうした?」
「・・・・?言ってる意味がわかんないんだけど?」
「オイオイ・・・・まさか無意識かぁ?」
「????」
意味がわからない、と首を傾げれば
僚はまるで小さな子供にでも接するかのように、あたしの頬を指で拭い
「こ・れ」と指し示した
「・・・・涙?」
「だろうなぁ、鼻水には見えんからなぁ」
「きったないわねぇ・・・そもそも普通、鼻水は眼から出ないわよ」
「そりゃそうだ・・・で、眼からボロボロこんなもんこぼしてる香ちゃんは、その『普通』で言うところの『泣いてる』状態みたいなんだが?」
そう、あたしは泣いていた
悲しいことなんて無いのに
苦しいことなんて無いのに
ポロポロと涙をこぼしていた
慌てて泣きやもうとするけど、何故か上手くいかなくて
「あ、あれ?あれ?!」っとさらにパニックになり、涙がより溢れる
「あー・・・・まぁ、なんだ・・・・とりあえず落ち着いてみたらどうだ? ホレ、深呼吸、深呼吸!ヒッヒフーっ♪」
「それはラマーズ法じゃ、ドアホウッ!!!」
ふざける男にイラっときて、八つ当たりハンマーで潰すと
赤くなるのを無視して、ゴシゴシと涙を拭きとると
そのまま男を放置して背を向けた
(なんで泣いたりなんか・・・したんだろう)
僚が後ろ「り、リラックスさせてやろうとしただけなのにぃ」と唸っていたが
あえてそれを無視し、あたしはキッチンへと向かった
馬鹿はほっといて、少しでも今の状態を落ち着かせるためにコーヒーを淹れる準備をしつつ
先ほどの自分を振り返る
ただ、なんとなくぼーっとしてて
それで、最近自分の中を揺らいでるソレをぼんやりと考えていた
温かくて
苦しくて
むず痒くて
切ない
『・・・・香』
そう、ただ・・・名前を呼ばれただけ、それだけ
ただアイツに、僚に・・・名前を呼ばれた・・・・それだけなのに
なのになんで・・・・・・涙が溢れるくらいに、あたしの中は揺れているんだろう
ふらふらとおぼつかない、これは、一体なんなんだろうか?
まだ名前の無い感情に、あたしは戸惑い、眉をしかめながら
お湯が沸くのを待つ間
再び、この定かではない感情に身を任せるように、もう一粒涙をこぼした
恋愛未満5のお題 お題提供:loca 様
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