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*この作品は以前茶会にて即興で仕上げた作品の改訂版です
朝起きて簡単に身支度したら
まずは食事の支度に洗濯掃除
一息をついたら、どこぞのバカを叩き起こす
ご飯を食べてるあいつの脇でさらに残りの家事続行!
終わったら伝言板へ見に新宿駅へ
途中で知り合いに会えば軽く挨拶したり
ちょっとした会話なんかもたまにしながら向う道のりは結構お気に入りだったりする
駅に着いたら早速伝言板チェック、あったら即アポをとるけど、依頼があるほうが稀な冴羽商事
今日も今日とて依頼のない伝言板にため息を一つこぼし落ち込みかけていると
どこぞのバカの声と女性の悲鳴が耳に入り、さらに一つため息を追加する
もちろん、すぐさまその場でもっこりバカをハンマー沈める
・・・・アイツいつか絶対に警察に捕まるわね、まぁ、冴子さんがどうにかしてくれそうだけど・・・
そんなことを考えながら、あたしはキャッツへ移動
美樹さんの笑顔と海坊主さんの美味しいコーヒーでホッと息をつき癒される
美樹さんから「また依頼無かったの?」と聞かれれば苦笑しながら「そうなのよ~」と言い
日頃の愚痴を話す・・・美樹さんには悪いとは思うんだけど、話すと楽になるから
ついついやってしまう・・・そうこうしていると、カランと音をたてて先ほど潰した男がやってきた
「みっきちゅわ~ん!ボキちゃんともっこり浮気しよぉ~!!!」
今度は人妻の美樹さんに飛び掛かる・・・・が
ズドォオオオオンッ
「~~~~~っ!!なにしやがるタコ!!!てめぇ人間さまに歯向かうとは何様だ!!?あぁ!!?」
「フンッ、もっこり虫が何かほざいてるな・・・美樹、ゴキブリ用のスプレーを持ってきてくれ」
「俺は虫でもゴキでもねぇええええ!!!」
前はここであたしのハンマーで殴りつけていたんだけど
最近では、美樹さんのお盆と海坊主さんの頭突きで潰れるからこのときだけは見過ごすようになった
ハンマーだってたまには休ませてあげないとね
それに大抵こうして海坊主さんとの口喧嘩に発展するし・・・あたし口挟むのも・・・ねぇ?
「ったく、ナンパは上手くいかねぇし、タコにはひでぇ目にあうし・・・あ~あ~、リョウちゃんついてなぁ~い」
「あら、冴羽さんそれは違いますよ!!」
「ん?どうちて?かすみちゃん?」
「だって、それっていつものことでしょ?だからツイてるとかツイてないは関係ないはずでしょ?」
「・・・・な、なはははは、かすみちゃんも結構言うのねぇ~・・・んじゃぁ、いつもの不幸な僚ちゃんを
かすみちゃんの優しい愛で幸せにしてほしいなぁ~」
「え~、どうしようかなぁ?・・・それに香さん放っておいていいんですか?」
「えー、いいのいいの、香なんて!!だから、ね?ボクちゃんと楽しいことしようよぉw」
そうこうしてる内に海坊主さんとの口喧嘩が終わり
今度はターゲットをお使いから帰ってきたかすみちゃんに変更したみたい
かすみちゃんも悪い気はしてないみたいだから、なんともやりにくい
かすみちゃんがチラりとあたしの方を向いて言った台詞と僚の返事に何気にグサッときた・・・
しかも、アイツもいかにも退屈そうな顔で言いやがったし・・・
・・・・ふーーん、あ、そう?そうよねぇ、あたしはお邪魔でしょうよ!!
「美樹さん、長いしちゃってごめんなさい、あたしそろそろ帰るわね」
「か、香さん?」
わざとにっこり笑ってお金を置いてキャッツを出てやった
一瞬僚がコッチを見た気がするけど、あえて無視してドアを開けて外にでる
(アンタがそのつもりなら、どーぞご勝手にっ!!!)
内心べーーっと舌を出してそのまま真っ直ぐ歩く
本当はスーパーに寄ろうかと思ったけど、今日はもうそんな気分じゃない
冷蔵庫の中のものでもなんとかなるし・・・あ、でも今日特売品があったのよねぇ
どうしようか考えながら歩いてたら、急にグイッと腕を引かれた
「なにすんのよ」
「何怒ってんだよ」
同時に出た言葉、同時にからむ視線
まるで自分のほうが機嫌が悪いみたいな顔してさぁ
機嫌が悪いのも、気分が悪いのもあたしの方だっつーのっ!!
「べっつにぃ、ただ毎日毎日変わらない日常を過せて幸せよねぇ~って思ってるけど?」
「・・・・嫌味か?」
「真実でしょう」
ギロリと男を睨めば、今度は困った顔
・・・・この男、わかっててやってるんじゃないでしょうね
いや、絶対わかっててやってる、そして、あたしがほだされるのを待ってる
(・・・・・本当に最悪)
謝りもしなければ、悪いとも思ってない
ただ、こうしてあたしのご機嫌を取ることだけは、長年上手くなってる男に思わずさらに顔を顰めた
「なぁんでこんな分かりにくい男がいいのかしら?」
「誰の話だよ、それ?」
「さぁ、誰かしらね」
プイッと顔を背け、その腕を振り払いスタスタと歩き出す
「オイ」って後ろから声が聞こえたけど、無視
たまには簡単に機嫌が直らないことを痛感すればいいのよ
あたしだって、そうそう単純じゃ・・・・
「なぁ、それって誰のことだよ?」
「・・・・・っ!!」
時間は夕方
場所は人気のない公園
情報屋さんもこの時間にここに居ないことを知ってての行動
それでも、隠れるように触れた手は・・・滅多にしてくれない、恋人同士のような指を絡めていた
「アンタッ・・!!!!」
「ん?なんだよ?」
「~~~~~っ!!!!?」
真っ赤になるあたしに、ニヤニヤと笑う男
きっとこれ以上口を開けば、あたしが墓穴を掘る
その掘った穴にコイツはさらに横槍を入れて、グダグダになって、いつものパターンでうやむやに終わるか
あたしが追い込まれて、結局丸めこまれて終わる
(・・・・もう、なんだって、毎日毎日・・・・っ!!!!)
変わらない毎日
変わって欲しくない毎日
それでも、やっぱり、多少は違う毎日
(こうも、コロコロ変わる男がいたら、そりゃぁ同じ日なんて一度として無いでしょうよっ!!)
内心で絶叫しながらも、ニヤニヤ笑いを深める男が「そんで、カオリンはどうしたのかなぁ?」
なんてわざとらしく聞いてきてさらに、あたしの羞恥心とか怒りとかを煽る
(~~~~馬鹿にしてっ!!!あ、あたしだってたまには違う反応するんだからねっ!!)
必死に頭を動かしながら、ギッと僚を睨み
そして・・・・
「すっ」
「す?」
「スーパーまで付き合ってくれたら・・・・教えてあげてもいい、わよ」
ようやく出た言葉に、僚はもちろん、あたしも「なんじゃそりゃっ!!」と思った
なにより、真っ赤な顔で言ってみてもきっと何の効果もありゃしない・・・
(それでも、やっぱり・・・たまには反撃というか、一撃くらい入れてみたいのよ)
一瞬呆れた顔をするも、すぐにクツクツ笑う男の反応にさらに赤くなって腕を離そうとブンブン振り回してみたけど
ヤツが離す気がないのか、それはちっともはずれなかった
「んじゃぁ、コレは公園出るまでな・・・スーパーにはしょうがねぇから付き合ってやるよ」
「何よ、その上から目線はっ!!!」
「細かいことは気にしなぁーいのっ!、んじゃぁ、行くぞ」
「あ、ちょ、ちょっとっ!!!」
コレと言って持ち上げられた繋いだ手を、グイグイと引かれる
まるで引っ張られるようにして歩く姿は、繋ぎ方と反して恋人同士なんてものじゃないけれど
それでも、さっきのキャッツにいたときや、伝言板前の態度とは裏腹の行動に
あたしはやっぱり・・・なんだかんだとほだされてるんだと思う
(・・・・・なんで、こんな男がいいのよ・・・・ねぇ、槇村香、あなた男の趣味最悪よ?)
そう内心呟いてみても、やっぱり少しでもゆっくりこの手を握っていたいと思ってしまうわけで
どうあったってこの男に勝てない自分に、そっとため息をついた
「ちょっと、早すぎだっつーの、このもっこりばかっ!ちょっとはコッチのこと考えて歩きなさいよねっ!!」
わざとあたしは足がもつれるフリをして
文句を言って、この時間を少しでも長くさせようとするぐらいは・・・・別に、悪いことじゃない、わよね?
わかりずらいアンタと毎日一緒にいるんだしさ
単純で嘘がつけなくたって、ちょっとした駆け引きぐらいしたっていいじゃない?
そう心の中で呟きながら、あたしはギュッと恋人繋ぎの手に力を入れた
Puppy love by Perfume
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