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「ねぇ、連れて行って・・・って言ったら、怒る?」
そう言ってあたしは笑った
誤魔化すように、笑った
でも、たぶん・・・僚にはあたしが本気だってことがわかってる
その証拠に僚の目が一瞬鋭くなったから
「なぁに言ってんだよ、おまぁが来たって興ざめだろうが」
「そうかなぁ、結構お呼ばれされてるんだけど」
「だぁーめっ、僚ちゃんの取り分をおまぁなんかに取られてたまるかよ」
お互い笑って腹を探り合う
誤魔化してるってわかってるのに終わらない茶番
「いいじゃない、だったら邪魔しないで外にいるからさ」
「・・・・・随分必死じゃねぇの、どうかしたのかぁ?」
「別に・・・・・ただいい加減知りたいと思っただけよ」
アンタが『生きてる場所』を見たいと思った
知りたいと思った
パートナーとしてだけじゃない
あんたの人生を一緒に歩く者として
知りたかった
もう、秘密になんか・・・・されたくなかった
「汚い場所だぞ」
「お世辞にも綺麗なんて言ったりしないわよ」
「・・・・実際の場所は見せねぇぞ」
「傍にいるだけでいいの、アンタの邪魔はしないから」
笑って、微笑んで、なんでもない顔をして、言い切る
それだけ本気なのだと伝えるために
泣き叫んで、すがりついて、許しを請うのではない
「対等な立場」で僚に許してもらいたかった
「ねぇ、ダメ?」
「・・・・・どうしても、行きたいのか?」
僚の顔から笑みが消えた
道化の仮面を消した男、おそらくわずかにあたしの知らない顔を覗かせている
冷たい光、それがわかってもあたしは目をそらしたりしない
「行きたい」
アンタの『生きている場所』
そして『死ぬかもしれない場所』
何も知らずにここで待っているのは嫌
何も知らずにアンタに置いていかれるのも嫌
いつも傍になんて望まない、それはアンタの命を縮める行為だから
アンタが危険だと判断したのなら
邪魔だと言うのなら、置いていってくれてもかまわない
それがアンタが最良だと考えたのなら、あたしに否を言う資格が無い
あたしはあたし自身で身を守れない
アンタがいなきゃ生きられない
そしてアンタも・・・・アタシが死ぬのを・・・望んでいない
だがら、我がままは言っても無茶はしない
2人生きるために、生き続けるために
「そこまで言うなら、招待してやろうじゃねぇの」
そう言って差し出されたのは、一本の太い手
いつも見ている、抱きしめてももらってる
でも、今まで決して触れられなかった・・・・手
その手に・・・・今、あたしは触れ・・・・そして
「ようこそ『地獄』へ・・・」
あたしの腕を引き寄せ抱きしめた男は
笑みを浮かべ、そして、痛みを耐えるような声であたしにささやいた
「Ring」 by B'z
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